奄美大島食肉センター開所 安全・安心な食材提供へ 初の防衛省「周辺施設整備事業」 奄美市

2024年03月02日

社会・経済 

開所した奄美大島食肉センター全景(奄美市提供)

奄美市が同市名瀬朝戸に整備を進めてきた奄美大島食肉センターがこのほど完成し1日、同地で開所式があった。同市では防衛省の「防衛施設周辺民生安定施設整備事業補助金」(補助率3分の2)を活用して完成した初の施設で、製品の安全性を確保する衛生管理手法「HACCP」に対応。徹底した衛生管理と作業効率の改善で、安全・安心な食肉提供を目指す。

 

奄美大島食肉センター本館内を見学する出席者=1日、奄美市名瀬

同センターは1972年に開設した市食肉センター(同市名瀬有屋町)の老朽化に伴い、衛生管理強化や作業効率化、環境影響の低減を目的に2020年度に事業着手し、24年2月に完成した。敷地造成を含む総事業費は約10億9千万円。うち防衛省の防衛施設周辺民生安定施設整備事業補助金約7億1千万円を活用した。

 

敷地面積は3310平方メートル。施設は鉄骨平屋建ての本館(延べ床面積625平方メートル)と鉄筋コンクリート造平屋建ての排水処理施設(同115平方メートル)。

 

本館には旧施設になかった冷蔵施設を完備し、適正な温度管理で食肉を提供できるようになった。解体室や係留所、部分肉加工室、内臓処理室、包装梱包(こんぽう)室など作業員の動線を意識した構造で、特殊機器の導入などで作業効率化を図った。施設内で発生した汚水は排水処理施設で法的基準にのっとって処理を行い、環境にも配慮する。

 

1日の開所式には行政や市議会、防衛省九州防衛局の関係者や周辺住民など約70人が出席。安田壮平市長は「安定的な食材供給はもとより、奄美独自の食文化を継承する役割や旅行者へ提供するおもてなしの食材の供給拠点として大いに期待する」と式辞。九州防衛局の江原康雄局長(池田眞人次長代読)は「事業を通じて奄美市の発展に微力ながら貢献できることはこの上ない喜び」と祝辞を述べた。

 

式典後は施設見学があり、市担当者が施設内での作業工程や衛生管理について説明。開所を祝い、出席者に豚汁とヤギ汁が振舞われた。

 

市環境対策課によると、新施設の1日当たりの処理能力は25頭(豚20頭、ヤギ5頭)で、34年度までに年間2千頭の処理を目指す。新施設の運営は旧施設を運営してきた奄美市名瀬食肉組合(新納誠人組合長)に委託する。

 

検査料を含む1頭当たりの利用者負担(利用時間内)は豚が7500円、ヤギが6550円。奄美大島食肉センターは4日から試験運用を始め、4月1日から供用開始を予定。当面は週2回(火、木曜)稼働する。